from:吹雪の海に黑豹が 64/68
「イメージ錯乱」
ウタを
ウタわれる犯罪性について
危惧している牛達は
ぬけるような青空の下でも
すぐに折り重なって
夢を拡散してしまう
殴られた分だけ
殴ろうとして昂ぶる日常は
永遠にあこがれる『平凡』に向って
砂嵐の中で廃屋のように眠る
時速四百キロのイメージ錯乱は
古ぼけたアルバムの角から
最後の胃液を
嘔吐している
愚を認識して閉じていった
俺の呼吸への辛辣な挑戦も
何の感触もないまま
うすっぺらな一枚の春で
己の平骨を叩き乍ら
あっち側へ逃げ落ちた
屍になることを拒まない
踝にアザのある五人のトモダチと
駱駝の夢に憑かれた木の老人に
今夜
未解決のぶさまを
目擊された
眉をきれいに揃えたローソクの神秘に
哀しい姥を百年も背負い
針の孤独へ身を委ねた
働哭である山には
幾千羽の鳥が舞い
その生命の淵で
オレタチの努力は視力を喪失し
大衆の足ぶみの中で
腑抜けに果てた
俺自身の発見は
社会の火車に恍惚の髪型で従い
マスコミの沈黙する構造に過勞し
あらゆる精美なものへの(?)から
はじめる
嗚咽への報酬がぼける
現在
社会もう語られない