[音]桑名の駅
詩:中原中也 曲:友川カズキ
「桑名の駅」
桑名の夜は暗かつた
蛙がコロコロ鳴いてゐた
夜更の駅には駅長が
綺麗な砂利を敷き詰めた
プラットホームに只独り
ランプを持つて立つてゐた
桑名の夜は暗かつた
蛙がコロコロ泣いてゐた
焼蛤貝の桑名とは
此処のことかと思つたから
駅長さんに訊ねたら
さうだと云つて笑つてた
桑名の夜は暗かつた
蛙がコロコロ鳴いてゐた
大雨の、霽つたばかりのその夜は
風もなければ暗かつた
「桑名車站」
黑漆漆的桑名夜晚
青蛙呱啦呱啦鳴叫
深夜車站的站長
在鋪滿美麗碎石的
月台上獨自一人
拿著油煤燈站著
黑漆漆的桑名夜晚
青蛙呱啦呱啦哭泣
燒烤蛤蠣的桑名
就是在這裡嗎
詢問站長先生
是的沒錯笑著回答
黑漆漆的桑名夜晚
青蛙呱啦呱啦鳴叫
大雨過後放晴的夜
連風都沒有的暗夜